有酸素運動(ゆうさんそうんどう;Aerobics)は、生理学、スポーツ医学、健康増進等の領域で、主に酸素を消費する方法で筋収縮のエネルギーを発生させる運動をいう。また、「十分に長い時間をかけて心肺機能を刺激し、身体内部に有益な効果をもたらすことのできる運動」とも定義される。有酸素運動では、クエン酸回路により、体内の糖質や脂肪が酸素とともに消費される。 これに対して、酸素を消費しない方法で筋収縮のエネルギーを発生させる運動を無酸素運動(むさんそうんどう; Anaerobics)という。 多くのスポーツは有酸素運動と無酸素運動の両方の要素を持つ。
有酸素運動は全身持久力向上に役立つだけでなく、中等度の強さにとどめておくと、健康の増進に役立つ。エアロビクスダンス(Aerobics Dance)も有酸素運動の一つである
一般的には、「身体にある程度以上の負荷をかけながら、ある程度長い間継続して行う運動」はすべて有酸素運動とみなす事ができる。例えば長距離走は有酸素運動であるが、短距離走は無酸素運動である。 有酸素運動を「好気的な」運動、無酸素運動を「嫌気的な運動」とも呼ぶことも多い。
無酸素運動は筋力を高めるが、有酸素運動は循環器系などの内臓の状況を好転させる。無酸素運動はスポーツマンらしさを増進させるが、有酸素運動は不健康な状況を健康に戻す。体内の糖代謝、脂肪代謝を改善して、生活習慣病の予防・治療に役立つ。肥満や高血圧や神経系ストレスなどに苛まれている現代人には、運動能力の向上のためでなく、健康の向上のために、有酸素運動をすることが望ましい。
有酸素運動を継続すると、最大酸素摂取量が高まる。逆に言うと、最大酸素摂取量を高めることは、(有酸素運動を継続して)体の状況を改善することを意味する。この意味で、「最大酸素摂取量を高めよう」と語られることがある。
【運動強度と脂肪燃焼】
運動強度を徐々に上げてゆくと、やがて酸素摂取量を酸素消費量が上回り酸素不足となる。この状態に至ると血液中に乳酸が増加し続け[2]、呼吸数、換気量が著しく増加する。その直前の運動強度、すなわち血中乳酸濃度が上昇し続けず運動を継続可能な最大の運動強度を無酸素性作業閾値 (Anaerobics Threshold: AT) という。
トレーニングを積んだスポーツ選手などではATの運動強度が高い。すなわち、心肺機能を強化し酸素摂取能力を高めると高い運動強度でも酸素不足がおきにくくなる。
運動時の糖質と脂肪の燃焼割合は運動強度により異なる。AT以下の運動強度では、糖質と脂肪の燃焼割合はほぼ50%ずつである。それよりも強度が高くなると酸素不足のため脂肪を燃やせなくなり、脂肪よりも糖質を多く燃焼させる。
アスリート(陸上競技選手)、兵士、警察官、消防士など、高い身体能力が要求される職業に従事する人々にとっては、有酸素運動では十分なトレーニング効果を享受できない可能性が高い。全身の筋肉の強度、その中でも特に上半身の筋肉強度は、有酸素運動においては強化されない場合が多い。また、嫌気性代謝にかかわる経路(解糖と乳酸発酵)をその人の限界速度まで機能させられないため、運動能力の上限を底上げすることは難しい。しかし有酸素運動を既存のトレーニングに追加した場合、高い効果が得られるであろうことは間違いない。
人によっては「エアロビクス」中に身体にダメージを受けることがある。このような場合はエアロビクスに固執せず、身体にかかる負担のより少ない運動(ローインパクト・エクササイズ、例えば水泳など)をするべきである。
有酸素運動では他の運動、例えばウェイトトレーニング等と比べ、安静代謝率をそれほど著しく増加させることがなく、そのため減量効果もそれらに比べて少ない。しかし有酸素運動の方が長時間かつより頻繁な運動をするため、消費するカロリーはこちらの方が多い。
【ウィキぺディアから参照しています】